水道機工 製品・技術のあゆみ
1946年(昭和21年)から1954年(昭和29年)

製品・技術のあゆみ 1946ー1954 水処理技術の変遷 TOPへ

スラリー循環型高速沈殿装置

● 開発に至る背景

終戦直後の虚脱状態から幾分立ち直りかかった1947~1948年(昭和22~3年)ころになりようやく、戦時中の施設の酷使、戦後の人口異常増加が表面化して、各地に施設の拡張が余儀なくされ、加えて農地尊重の法案にしばられて、官・民を問わず用地難に陥り、広い場所を取らない薬品沈殿法と急速ろ過法の組合処理法が、計画の大多数を占めるに至った。
ここで薬品沈殿法の重要性が再認識され、米軍衛生部の示唆と相まって理論追求は戦前にも増して旺盛となった。濁質原水に対して、土壌コロイド化学に電気化学の分野が開け、度重なる研究と実験を行い、さらにデータを解析して、高速沈殿装置が完成した。
活用する原水に薬品注入後槽内で生成されるスラリーの使用方法により、分離型とブランケット型の2型式があった。いずれも、処理時間すなわち沈殿槽内の滞留時間が分離型で60分、ブランケット型で90~120分と短時間であり、当時の浄水技術者にトリックとまで言わせた驚異的な装置の開発であった。


● 分離型(スラリー循環型高速凝集沈殿装置)

混濁原水とスラリー(母液と呼ぶ)とを第1反応室で撹拌羽根によって強制的に接触させて、原水中の濁質粒子の大部分を母液に吸着させ、さらにこれらを強制的に第2反応室を経て分離室へ導く。分離室は面積も広く流出路も上下に自由に選択できるので、濁質を失って軽くなった清澄水は引出の上流向にのって集水樋へ向かい、濁質を吸着して一層重くなった母液は、循環流に誘導されて下降し、元の第1反応室に戻る。すなわち、接触と分離の連続循環作用で、しかも分離が各々の比重によって無理なく自然に行われ、母液の比重が増加すれば(原水濁度が上がれば)分離は益々円滑となるところが大きな特徴である。

● ブランケット型

混濁原水を反応室頂部の急速撹拌室に入れ薬品と混和させた後、急速撹拌室周囲の溢流堰より下部の反応室へ導く。反応室には3段~4段の撹拌羽根を備え、流下中の混薬原水に緩やかな渦流を与えてフロックの成長を助ける。成長の終わったフロックは、反応室下半分および反応室外周の沈殿室で、容積と比重に従って各々ある高さにブランケット層を形成する。このブランケット層でろ過された清澄水は集水樋へ向かって上昇する。すなわちフロックを生成し、これをろ過帯としてろ過を行う。いわゆるフロックろ過である。したがって、この形式で高濁度原水を処理するとブランケット層の抵抗が刻々に増加するので、これを調節しながら処理水量を一定に維持することが特徴である。